[1st impression]

○選考理由
DEMO系というジャンルが静止画M@Dに根付いているが、その中で自分が最もDEMO的であると思うこの作品をあげさせていただきました。 一回目ということで分かりやすい作品を選ばせていただきました。


○感想
この作品が発表されたのが2002年ということはかれこれ5年も前の作品なんですね。 今見ても全く色あせることのない作品であると私は思います。 DEMO系として作られて、そしてその目的が達成されている作品がどれほどあるのか。

ミクスチャーに合わせて展開されていくこの作品は音楽の扱いが非常に秀逸であると思う。 単純に同期を取るというだけでなく、 「音に合わせた映像を演出する」 ことができている。そのことが、より映像と音楽の一体感を高めているのであろう。 具体的には、0:15の広がる輪、0:40のタイトル、0:47のカラス等全編にわたる。 テキストも練られており、過不足のないシンプルで分かりやすい文章が心がけられている。「ゲームを知らない人に興味を持ってもらう」という部分を理解して作っているからだろう。「DEMOムービー」という仮定を立て、「ゲームを知らない人に興味を持ってもらう」というDEMOムービーに必要な条件を理解し作っているからだろう。 一番最後、効果音と共にあんな文章見せられたらもうプレイするしかないでしょ。

教科書的な作品だと思います。

[2nd impression]

splineさんの仰っている部分で「>グラマーさを徹底的に排除したムービー」であるという点は、TYPE-MOONにファンが求めているもの、TYPE-MOONが届けたい作品、という点で考えれば重要な点ともいえますよね。 こういう点がずれているとDEMOとしては成り立たないわけでよく考えられていると思います。

「>M@Dが原作依存の極めて強い2次創作」であるという点に関して、 DEMO系の作品っていうのは依存性ってのはあんまり高くないのかなっと私なんかは考えがちですが、 基本にたちかえれば、最も原作に依存していなければいけないんですよね。 少なくともプレイしたことなくてもデモムービーが作れるなんて思いたくないです。(バリバリの自分の主張なだけですが)

色彩に関しては実のところあまり気にしていなかったりしたのですが(汗)全体に減色してあって、メインの色に絞って統一感を出しているようですね。 原作である月姫がハードな作品であるということが色使いだけとっても見ている人に伝わるでしょう。リズム帯については、4/4拍子で1で切り替えってのはセオリーといえると思います。 (人間がリズムをどう感じるかっていう裏づけはもちろん私も分かりません。) で、確かにmeimさんの仰られているようにしつこいぐらいこのリズムを守った展開をしてるんですよね。 M@Dは映像と音楽の二つで出来てる物ですが、両者に一体感が生まれるように意識的に仕掛けているのだと思います。 人間は音楽を聴くと自然とリズムをとるものだと思います。そのリズムが映像とカチッと合った時は非常に気持ちいいものです。 話はずれますが映像の展開を考える上では曲の展開を無視することはできません。 その曲のリズム、支配的な要因が何か理解できていることは重要です。スネアドラムやクラッシュシンバル、バスドラムなどなど。これができていなく、映像がずれているってのは非常に気持ち悪いです。(タイミングが合ってないってことだけじゃなくて、そこじゃないだろっていう意味で) この作品はその点においてもブレがないなぁと思います。