[1st impression]

アルル氏のプリズムキャリア以降の作品は、キャラやそれに付随する漫画的表現を動かすということに重点が置かれています。その表現を使ったら、どういうカラーの作品になるか、というビジョンがとても明確である作品ではないでしょうか。どうにかしてキャラクターを魅力的に見せたい、その想いが十二分に込められています。モーションを加えることをキャラの動作とすることにより、表情・存在が活き活きとしてくる。だからこそ、カットとカットとの間の時間/空間軸上の繋がりが薄くても、芯のある作品になっています。曲自体のクセが強くなく、知名度がそこまで高くないので付随イメージが少ない、この歌い手さんをセレクトしたのも正解でしょう。原作を知らない人には鮮烈な印象を与えるために、しょっぱな0:12のように青空+ちゃん様はシンプルでインパクトが大きいカットを持ってくる、同士諸君には0:18のような原作の意味を改変したカットでニヤリとして貰う、そしてM@Dコレクター諸氏にはそこかしこに出てくる水月ネタを粘着に漁ってもらうと、全方位型に仕上がっています。ああ、んにしても0:43の、メニューを動かすことによりちゃん様のご尊顔があらわになり、頬を赤らめていることを次第に見せていくのは卑怯だ! って涙目で指を差したくなります。こみパで狂った身としては、もうちょい傲岸不遜なちゃん様が見たかったりも。新刊の山とダンボールをバックにペンを突き上げて自らがこみパ最強であることを高らかに宣言する姿とか。そんなCG原作に無いって。


余談ですが、こういう明るいオンリー系ってニコニコではハルヒとか☆とかでよくありますよね? エロゲの数が増えて個々のキャラへの愛着が、ってのもあるのかもしれませんが、静止画M@Dという手法が「そういう」作品を作るには手間がかかり過ぎるような気がします。それでも作る人は作るでしょうけど、アイマスで作った方が手軽で魅力的、さらに多くのレスポンスと賞賛を得ることができるなものに仕上がってしまいますから。ぶっちゃけて言えば、キャラクター単体の魅力は、ノスタルジー補整かけない限りはこみパとかより最近のえろげの方が高いと思うのですよ。あれだけ人気があったみずいろより、中古で¥4000前後で転がってるエロゲの方が楽しいって事は十分にあると思います。ああいう分かりやすくて楽しいエロゲっていうのがそもそも少なかったですし。作品が増え、エロゲ以外にもエロゲ的魅力があるものが増え、舌が肥え、って結果によるもので、私としては個人の嗜好の変化により、こういう作品がこの界隈では減ってきたのではないかなと思います。