[1st impression]

一昔前のユーロビートっぽい音楽にとても忠実なM@Dというのが第一印象です。幾何学的な模様や意味ありげなテキストが過剰なぐらい画面を覆いつくすぐらい出てくるのですが、音楽の展開と画面の展開をきちんと合わせているからか、あまり邪魔だと感じることがありません。打ち込みのリズムに合わせた黒のフェードアウト、0:55のような口パクのような工夫がちゃんとされているため。そのため、音楽と画面がとても合ったものに仕上がっていると思いました。


何でもないような模様に意味があるのではないかとふと画面を止めることがよくありました。0:20の草は三日月のメタファーっぽいですし、0;26秒のロゴマークでは双子っぽい女の子と月の満ち欠けが使われています。それ以降も月はよく出てきますし、0:40の星は、0:55のガラスの欠片と対応してステンドグラスとも捉えられます。0:15の水面とも対応しているのかもしれません。私が気付かないだけで、原作をやったことある人しか分からないものもあると思います。全部きちんと考えられて配置されていたら凄いですね。


使用されているCGはとても綺麗です。たぶん中世ヨーロッパ辺りを舞台にしたファンタジーなのでしょう。バック含め、青を基調とした穏やかな色でまとめられていて落ち着きます。今気付いたのですが夜しか場面がありませんね。キャラクターの白さと相まって幻想的です。第五回の作品のときも思ったのですが、エロゲーってイメージとは全然違います。健康的っぽいカタハネと違って、こちらは少し不健康っぽい綺麗さではありますが。


今作中で最もインパクトがあったのが、間奏部分でヒロインっぽい赤目のキャラクターが上から下へベルトコンベアーで流れるように出てきて、たくさんの人形が首吊りになった画像が短い感覚で表示されているところです。キーボードの音も控えめで、かえって画面のインパクトの強さが強調されているように感じました。最後にアルビノの子の目が動くのですが、「こっちを見ている」みたいな目つきをしているのが本当に怖いグリム童話みたいで、公開当時からずっと覚えてます。この画面だけはとうぶん忘れることはないと思います。


後半部は詰め込まれ過ぎてて、私には付いていくことができませんでしたのでとにかく淡々と眺めていました。ハードSFを読んだときのように、たくさんの情報を一気に飲み込んだんだっていう気持ち良さと似ている気がします。だから、終幕間近で何があったか説明してくれたら分かりやすくてもっとよかったなぁと思いました。何かシリアスな出来事があったことは前後の画面で説明されているので、もうちょい具体的な事例というか。どうしたら表現できるのかは私には分かりませんけど。


あとYoutubeに、同じ画像ソースの海外製M@Dが結構あってびっくりしました。この作品のことは知らないので、そこまで有名な作品でないと思っていたのですが、コアなファンがいるタイプの作品なんでしょうか。それとも、外国のおたくの人ってこういうキャラクターがツボなのでしょうか。ちょっと興味深いです。