[1st impression]

2006年に公開された作品の中で、恐らく最も再生数の多い作品。この作品を一言で表すならば「予定調和的な作品」ではないかと。

初めて聞く曲でも、聞いている間に次にどんな音がくるかわかる、という経験を感じたことがある方は結構多いのではないかと思います。何故そんな現象が起こるのか、本当のことを私は知りませんが、それは過去に聞いた楽曲の数々から脳が音楽の流れのテンプレのようなを生成し、新しい曲を聴いたときには、そこから演繹的に次の流れを推測しているのではないか、と思います。

氏の作品は、そんな音楽の流れを如何に映像化するか、という点を念頭に置いて作られているのではないかと思います。流れ通りに作ってあるので、曲や映像の流れから次のシーンが容易に想像でき、本当にその通りに来るから非常に気持ちいい、そういう作品です。こういった傾向は例えばRipe Snowなどに顕著に見られますが、この作品では今までの作品と比べて、表現の幅が格段に広がり、映像に深みが加わって、より味が出た。

お二方がおっしゃってる通り、もちろん他の点でも良いところは多数見つけられるのですが、私がこの作品が好きだと考えるのはただこの一点に尽きると思いました。それは私がメタル&トランス大好きな人だという事だからだと思いますし、そういった予定調和的な物が嫌いな人、例えばプログレ好きな方など、がこの作品をどう受け止めるかには、少し興味が湧きますね。