山椒第一回

nemo/ヌッコロツルリン君

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spline :この作品は由乃とユッキー中心で、途中からオリジナルの展開になりますよね。
meim :そうですね。ただ、エフェクトを使用しないで作ろうとしてるため、そこまでの設定を説明するための部分が非常に冗長になってしまってるように感じます。
spline :とにかく最後のシーンが作りたくて、そこから外堀を埋めていった作品じゃないかと私は思いました。
spline :最後ならフォントもセリフ統一で良かったのですが、漫画も未加工で使っているため、違和感があります。
spline :例えば、漫画部分の噴き出しの文字はゴシックで読み仮名がある。それに対し、作者が加えた文字が明朝体というのは変ですよね。
もんぢゅ:設定の説明部分で、文字による説明→絵という流れになってます。
もんぢゅ:しかし、文字と絵がかっちり対応していないのが違和感を感じるのと同時に冗長なっているように私は思います>splineさん

spline :もうちょっと練れば、って感じですね。シーンのセレクトはいいのではないかと思いましたが、どうでしょう?
spline :私は「紐解いて生命に擬う」って歌詞で0:34の絵が出てくるのが好きですね。
meim :私的には、元々テキストが多い作品なので、もう少し抽象的なシーン多めの方が良いのではないかと思いました。
もんぢゅ:見せたい絵が先行しているような印象ですね。シーンとしてはいいのですが。例えば0:15のあとなんかは特に。
もんぢゅ:最後のカットにもっていきたいっていう思惑があるのだとすれば、ゆののカットを全体に散りばめて印象付ける必要があるのかもしれませんね
spline :M@Dでも由乃様の扱いには注意ということですね。

醒/詩月狂月

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meim :新人(?)の作品ということで若干作り込みが甘い感じはあるものの、曲の展開にしっかりと合わせて展開を作っています。
meim :作者のセンスが垣間見える作品ではないかと思います。
spline :分かりやすくていいですよね。原作知らなくても、シャナの男前さが分かる作りになってるんじゃないでしょうか。
もんぢゅ:動画ソースにとどまらずに静止画ソースも積極的に使おうという点も評価ポイントですね
spline :静止画・動画が特に違和感なく共存しているのが凄いなぁと私は思いました。
もんぢゅ:曲の展開にはあっているのに、メリハリがなんでか感じられないのがなんでなんだろうか?
meim :私もそれは感じました。シャナと陰陽座の相性のようにも思いますが
spline :meimさんの突っ込んだとこが要因ですね。音楽も動画もずっとサビ=派手な状態が続いているような感じなので。
meim :他の作品でも使われていますが、陰陽座はMADと合いにくいイメージがありますね。

Maid's Souvenirs/御箱えでん

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spline :醒では他のデモと似た画面があってどれだけ自作か気になったのですが、この作品はだいたい分かりますね。
spline :それでも作者さんの技術力がしっかりしているので、画面による品質の格差はないと感じました。
meim :そうですね。元の動画ソースに頼りすぎずしっかりと使い分けて、上質のデモムービーっぽく仕立て上げられてる用に思います
もんぢゅ:そんなわけでよけいに大体分からなかったりするのですが、、
spline :この画像ソースってことで、もんぢゅさんみたいにどう扱えばいいのか困る人も多いような気がします。
もんぢゅ:純粋に見たらうまいなーと思うのですが「どこまで自作か」問題が、、、。
meim :私は、どうせCGだって借り物なんだし、動画ソース使ってても無問題と割り切ってますね
もんぢゅ:私の場合は動画M@DでOP映像使うぐらいの禁じ手かなと言うぐらいの認識かも>meimさん。
もんぢゅ:有名ソースかマイナーソースかってことでもそこらへんの境目ってのはかわりそうですが。

もんぢゅ:構成自体は格ゲーのデモとかOPみたいな印象をうまく出していると思います。作りたいものがわかってるなと。
meim :曲の途中から始まるからか、普通のデモムービーというよりTVCMっぽい感じがしますね
spline :短編としてちゃんと方向性の決まったものが見れたって感じですね。
spline :あ、いちいち技の名前とかバックグラウンドが大仰なのも扱いに困る要因だと思いました。出来はいいのですけど。

[1st impression]

まず始めにお二方に謝っておくと、明らかに選出理由を間違えました。すみません。
これを書くに当たって、今まで何度となく見たloop,DEAD-ENDと、このBLnをじっくり見てみたのですが
同じソースを使い、リスペクトが見られる部分があるとはいえ、これは前二つの作品とはまったく毛色の異なる作品だな、と思わされました。


loopは終ノ空という作品を文句のつけようがないくらいに描ききった作品ですし
DEAD-ENDは終ノ空をベースに若干捏造を加えた創作物だと思うのですが
BLnは「終ノ空とか世界の滅亡とかどうでもいいけど、カッコイイ物作ろうぜ」的な気持ちで作られたものだと思うのです
(実際に作者の方々がどういう気持ちで作られたのかはわかりませんが)


だからこそ、この作品が唯の模倣作として評価されるのは勿体ないと思っていて
まあ確かに薄っぺらい作品ではある。けれども過去作を真似ている部分に関してもより洗練した形に作り直されているし
デザインセンスやオブジェとしてのテキストの使い方に関して言えば、昨年公開された作品の中でも群を抜いてるとさえ思うのです。
そもそもが模倣から始まったMADという文化において、今まで使われた演出法の使い回しに過ぎない作品なんて他にも腐るほどありますが
それらと比べればこの作品はよっぽど面白い。


もちろんデザイン的な部分さえ優れていれば良いとは全く思っていないし
「テキストが意味を成さず空気としか感じられない」等々不満は多々あります
ですが、そういった悪い点に目をつけるよりも、良い点を見つけて、それを基にしてより良い作品を作り上げる。
また、MADも昔のように本当に一部のコアな人達だけが楽しむ文化では無くなってきていますし、他の色んな文化から技術を取り込んで
もっと多様なあり方を認めてやる、そんな器量がこれからは必要なのではないかな、と。


後半は、最近私が静止画MAD界に感じている閉塞感への愚痴みたいになってしまってますし
中の人に取ってみれば自明の事ばかり並べているかと思いますが、自戒の意味を込めて書き残しておきます。

[1st impression]

終ノ空というソースに関して妙な考察を加えると、雫、痕、MOONあたりから続くダーク系ソース代表で、その後は腐り姫、沙耶、カルタグラ、3daysあたりに続いていく、という印象を受けます。例えばloopのような名作の視聴者が「俺もこんなの作りてぇ」って衝動から、こういったソース(もちろん元ソース含む)に手を出していくっていう構図があるんじゃないかと思います。ダーク系が持つ中二臭さってのに私らヲタは妙に弱いわけで。これらの作品群の知名度ってエロゲ界隈全体に対して静止画界隈のほうが妙に高いんじゃないかなっと思います(あくまで印象論です)。

こういった衝動が作成過程の根底にあるので表面上うすっぺらい作品が生まれやすいのかもしれないと思いました。「M@Dを見てM@Dを作る」ということがゲームを蔑ろにした、ただ映像の美しさ(ただそれすらも今までにどこかのM@Dで見たことのあるような表現に留まってしまう)を求めた物になってしまうのではないかと。私がダーク系の作品に対して無条件に近く拒否、嫌悪感を持つ理由はそういった作品ばかり見てきたという印象のせいだと思う。

正直私は上記の理由からこの作品ほとんど印象に残っていませんでした。今回は再び視聴する機会が与えられたので、少し考えてみたところ、「影響を受けたM@Dをソースである」と考えるとしっくりくるなという結論に至りました。簡単に言えばリスペクトってやつですよね。今作中においては、loop、DEAD-ENDに影響を受けていることを示していますが、それらに対する憧れとか尊敬とか感謝の表れの一部なんじゃないかと思います(ただ私がloop好きすぎる故の解釈かもしれませんが、単なる模倣っていう考え方よりは個人的に納得)。

まぁそういう理由で見てしまった以上それ以上の部分は語れないので、内容に関してはノーコメントでお願いします。

[1st impression]

終ノ空M@Dって、Loopから脈々と続いていく一種の系譜だと考えています。昔の人が良い作品作ったから、それに影響を受けてというのが今の今でも続いている。これって凄いことだと思います。今回の合作みたいな、どちらかというと新しい人がM@D作っても全然違和感がないのですが、ハタチにもならないオタクの子が「終ノ空面白いよね」とか言うのを聞くと、凄く違和感があるんじゃないでしょうか。たぶん、知らないオタクの人も多いのではないでしょうか。けれど、いいM@Dがあれば、どれだけマイナーな原作でも後の世代の人らも興味を持ってプレイしてみる。そしてもう一度M@Dを見てみて創作意欲が刺激され、自分の解釈を加えたものを作り出す。こういうとこ、とてもいいと思います。


そういえばもんぢゅさんの挙げられてるエロゲって、前と後でかなり違いがありますよね。うまく言えないのですが、前者は終末雰囲気っていうかよく分かりませんが、今プレイしてもそういうものが感じられます。世界が予言で終わるなんて陳腐だけど、それでも考えずにはいられませんでした。そういう雰囲気の中作られたからでしょうか。そういう雰囲気の中やっていたからでしょうか。なんでしょう。ちょっと考えたのですが、よく分からなかったです。


今回画像ソースとなる終ノ空とは、そんな作品だと私は感じました。サブカルの影響を隠すことなく、製作者が当時感じていた閉塞感をぶちまけた感じがします。そんな思い込みがあるので、あっさりとしたloopは好きじゃないです。DEAD-ENDが出てきたときはこれこれって思いました。NonexIstenceは、音楽ソースが音楽ソースなので未だにどう扱うか困ってしまいます。Wandaring Eyeは未だに何か何だか分からないです。


私はそんな作品群を見ていますから、この作品をはじめて見たときも、どんな作品かおおよその予想は出来ました。そして、ここのパートはあの作品へのオマージュだなということも。この作品に至るまでの過程には、どんなM@Dがあってということを知っていて、それらの作品群を楽しんでいる人には感慨深いでしょう。逆に言えば、何の情報もない人にはあまり親切な作品ではないと思いました。


また、多くの情報を持っている人にしても、どうしても終ノ空、ひいてはダークな作品の1作以上にはなり得ることは難しそうです。独自の1作になることを目的とはしていないかもしれませんが。確かに、この作品は昔の作品より凄いです。最初のボールの動き、0:25の意味ありげなオカルティックな図、1:04の万華鏡みたいな場面、1:51はじゅうぶんにオリジナルティのあると評価されるぐらいのクオリティです。私も結構繰り返して見てます。今でもそういう画面群を見るといいなと思います。結構好きな作品です。それでも、メインである終末って概念が間延びした印象を受けるのです。似てる画面が高密度で続くので余計に。


つまり一言で言うなら、この作品は意図的でないM@DのM@Dなんじゃないかなぁと思いました。

BLn(2006)

作者: 独&フィアライス&朝奈
選者: meim
公開:2006年
2006年ベスト静止画M@D大賞 63位(3pt)

■Zoome


○選考理由
何故か良作が多く、そして過去作へのリスペクトが多く見られる「終ノ空」をソースとした作品群について、その中でも最も新しい作品を通して語ってみたいな、と。

[1st impression]


凄い人気ですね。各動画配信サービスにおける閲覧数は図抜けてて、ニコニコの12万という数字ともなると見ていて本当に実態がよくわかりません。最近では初音ミクVerなんてものまで出回ったりと、もはやオタク全体の現象レベルにまでなってしまった作品ですね。友人との何気ない会話の中からこの作品の話題が出てきたり、ブログやmixiで「神動画」と紹介されていたりして微妙な気分になった界隈の人も多いかと思います。


初音ミクVerのほうが人間っぽくて、あざとさくコントロールされた心地よさに身を委ねる快感が弱くなっている(と私には思える)というのは面白いですね。意図的にエレクトロニカ・テクノをやってるcapsuleperfumeと、技術によって産み出された結果キャッチーなポップスに適合しているミク嬢は似て非なるものだったりしますが、今のところはまだ実際機械にやらせてみるよりも、人が機械っぽく仕上げた方がいいみたいです。ミク嬢もわざと機械っぽく調教した曲の方が、ネタであることを差し引いても素直に聞いて楽しめます。そういえば機械の受付嬢とか出来たみたいですが、怖くて見れたものじゃなかったことを思い出しました。


だからではないでしょうか。この作品が人気があるのは。キャラクターがKAWAII、音楽が気持ちいい、画面が愉快、そうやって楽しんでる人は楽しんでいるのではないかと思いました。初めて観たとき、きっと私はパートごとに「むうう、この人はこう来るか」としかめっ面を浮かべていたでしょうね。けれど、世間では合作ということすら気付いていなくて、最後にやっと分かった人のほうが数が多いのではないかと思います。それどころか気付いていない人もいるかもしれませんね。お2人が言及されていますが、画面作りだけでないPopな統一感、そしてギャルゲーみたいに恋愛とかストーリーがべっとり付加されていないキャラクターというのも気持ちよさに繋がっているのでしょう。

[2nd impression]


と頭カラッポにして楽しんだ後は、しかめっ面して各パートごとを見ようかと思います(笑) 私が特に好きなのはaria氏が担当した1:00からです。ピコピコした音といかにもアニメな手振りがツボで、思わずこの部分だけ切り離したくなるぐらいお気に入り。ロリグラマーの人が最後はカラフルなボール群になるのですが、この後にtaku氏かフィア・ライス氏、SORYU氏のポップな単色系の演出が観たかったです。


上に名前を挙げた4人のパートがいいですね。フィア・ライスさんのパートは何だかスーパーマリオUSA思い出しました。これでキャラクターが木から何か引っこ抜いたら笑ってたと思います。SORYU氏のパートは特にキャラクターが楽しそうに動いてていいですね。taku氏のパートはアイデアと根性の勝利といったところでしょうか。1:27のディフォルメな地面とバックが妙にマッチしているところは、不思議なおかしみを感じます。ひとみすいれん氏、sucure氏のパートは、メンバーがいい仕事してくれることを信頼しているから敢えて素材で勝負したフシがありますね。1:20、1:25は思わず画面を止めて見入ってしまいました。エンドロールは当然初回時に全部1回ストップして、誰がどのパートを担当しているかって確認しました。


結局、漫画だからきっと膨大な数の良い絵があるのでしょうが、その中からこれだけのものを厳選して選んできて、それに負けない背景と演出ができることが一番凄いことなんじゃないかなぁって思いました。まだ07年大賞まで時間がありますが、この作品にどれぐらい入るのかとても興味があります。さてさて、どうなるのでしょうか。

[1st impression]

「この番組はおーばーぜあの提供でお送り致します」(from ひとすパート)ということでおばぜあ(+α)の合作ですね!


この作品はついて敢えて語るとすれば色彩センスでしょうか。
MAD界って(私も含め)中二病的・オタク的な人の多い文化で、配色もそういった方の好む色が多用されているかと思いますが
この合作に参加されてる方は、ポップな色をきちんと使えるセンスをお持ちの方が多い。
そこがきっちりまとまっているので、全体として統一した雰囲気が出ていて、見ていて気持ちいい。
ソースの影響が多分にあるとは思いますが、大人数の合作でここまで黒の使用量が少ない作品は他にないんじゃないかと


それ以外のの点に関しては、私としては特に惹きつけられる物はありませんでした。
敢えて言うなら、takuさんパートのほぼ自作素材で作られた部分&動画ソースの使い方と
「おばぜあで一番AEが上手い」という噂のあるpH7さんパートが予想通り上手で
合作以外の作品を是非とも見てみたいと思ったくらいでしょうか。


確かに、作家さん達の個性は出てるんですが、8人もの大人数による合作のため
その密度が薄く、ちょっと物足りないという印象を否めませんでした。